がんの免疫逃避
免疫から逃れようとするがん細胞
がんは、あの手この手で免疫の監視の目から逃れようとします。自分を攻撃するCTL（細胞障害性T細胞）から隠れたり、免疫抑制細胞を活性化させて免疫細胞の働きを抑制したりします。
これを、「がんの免疫逃避」と呼びます。
がんの免疫逃避にはいくつかの種類があります。
1．がん細胞によるCTLの抑制
がん細胞が、CTLの細胞表面にあるスイッチ（免疫チェックポイント）を押すことで、CTLが正常に働けなくなるようにします。これを解除するために、当院ではオプジーボのような免疫チェックポイント阻害剤を使用します。
2．制御性T細胞による免疫抑制
がん細胞は、免疫を「抑制」する制御性T細胞（以下、「Treg」）を活性化します。活性化されたTregは、CTLの細胞死を誘導し、また樹状細胞のような抗原提示細胞のスイッチを押すことでその働きも抑制し、結果的にCTLの働きを抑制します。
3．がんの目印を隠す
CTLの標的となるペプチドやタンパク質をがん細胞の表面から消失させ、CTLからの攻撃を逃れようとします。CTLが標的を見失っている間に、がんはどんどん大きくなります。
これらを複合的に組み合わせて、がんは免疫逃避を行っています。がん免疫療法ではこの免疫逃避をいかにして打ち破るかが重要になります。