がんと免疫のお話し
Cancer and Immunity

がん微小環境とは?

がん微小環境

がんの内部の事を専門用語で「がん微小環境」(上図)と呼びます。
がんに関係する細胞たちで紹介した、たくさんの種類の細胞が集まって、がん微小環境を構成しています。
がん微小環境では、たくさんの種類の免疫抑制細胞が色々な物質を分泌しているため、がんの周囲・内部での生体反応は正常組織と大きく異なっています。
免疫抑制状態を維持するような細胞が大量に存在するがん微小環境では、免疫細胞は、正常に働くことができません。がん微小環境をコントロールして、リンパ球(CTL)などの免疫細胞が働きやすい環境を作り出すことが、がん治療において重要だと言われています。

がんは成長・変異する

がんは、成長と変異を繰り返します。がんは、増殖を繰り返して成長する過程で、周囲の組織に侵入したり(浸潤)、血液の流れに乗って他の臓器にたどり着き、そこで増殖したり(転移)します。また、がん細胞が増えていく過程で、新しい突然変異によってさらに強力ながん細胞が生まれることがあります(これを専門用語で「Clonal Evolution/クローン進化」と呼びます。)。しかも何度となく突然変異は起こるため、進行しているがんでは、性質の異なる、複数種類のがん細胞が含まれることが報告されています。

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