胸腺がん①
胸腺がん 60代 女性
短期放射線照射を併用したがん免疫療法で転移部位は消失。腫瘍マーカーも正常値に。
診断名
胸腺がん・術後再発
転移部位:肝臓・心膜・胸膜
当院の治療までの経緯
2014年に胸腺がんと診断され、手術を行い術後に放射線治療を施行。2017年に再発し、2回目の手術後、他のクリニックにてがん免疫ワクチン療法を2クール行ったが、その直後に再々発が指摘されたため当院へ受診された。
治療内容と経過
治療内容
がん特異的な細胞傷害性T細胞の誘導
来院(2018年12月)されて、当院でのがん特異的複合免疫療法に同意され、樹状細胞投与のためのアフェレーシス(成分採血)を施行。
がん微小環境での免疫抑制因子の除去、および樹状細胞によるがん抗原の認識を高めるため、短期間の放射線(トモセラピー)を腫瘍部位に照射(クリニックC4にて)。
その6日後に肝臓・胸膜の転移腫瘍に樹状細胞をCTガイド下で局所注射。
免疫チェックポイント阻害剤の投与
がん特異的な細胞傷害性T細胞の免疫疲弊をブロックするため、2週間に1回の低用量ニボルマブ(0.3mg/kg)を6回にわたり投与。
経過
樹状細胞局所注射後とニボルマブ投与後にはわずかに発熱が見られたが、それ以外の副作用は無く、安全に治療を終了。
治療4か月後にPET-CT検査で治療効果を判定したところ、樹状細胞を局所注射した部位だけでなく、心膜転移部の腫瘍も消失していることを確認。
腫瘍マーカーも正常値まで低下。
現在(2019年10月)はフォローアップもかねて、2か月に1回のニボルマブを継続中。


考察
この方のポイントは、速やかに当院の治療を進められたことだと思います。
治療開始後、11ヶ月を経過しましたが、再発もなく元気に毎日を過ごしておられます。