膵臓がんに関する最新のニュース
(米)以下の記事は、2020年1月に作成されています。
・手術不能な膵臓がんに対する新たな粒子線治療方法の開発
製薬会社アルフレッサファーマと神戸大学医学部の連携で開発された放射線治療用の吸収性組織スペーサ(臓器を保護するシート)と粒子線治療を組み合わせることで、膵体尾部の手術不能な進行がんを、付近の臓器を傷つけずに治療できるという方法が注目を集めています。
粒子線治療はがん付近の臓器にもダメージを与えるため、手術不能な膵臓がんに対して治療が可能なケースはわずかでしたが、がんと臓器の間にスペーサを挟んで隙間を確保することで、粒子線治療を可能にできるとしています。スペーサは生分解性の繊維で作られており数カ月で分解されるため、取り出すための手術も必要ありません。これまで根治が困難だった手術不能な膵臓がんに対して、粒子線治療が新たな治療法となる可能性が期待されています。
・膵臓がんの転移を促すタンパク質の特定
東北大学大学院医学系研究科は、膵臓がんの転移を促すタンパク質を特定したと発表しました。
同大学では手術した膵臓がん患者のうち、遺伝子に作用する特定のタンパク質(転写因子BACH1)が多く発現した患者の生存率が低いことに注目し、そのタンパク質のはたらきを抑えたがん細胞を移植した場合に転移が抑制されることを動物実験で証明しました。逆にそのタンパク質を増加された場合は転移に関わるがん細胞が活性化したとのデータもあります。
がん細胞は遺伝子変異によって生じますが、転移のシステムは不明な点が多く残されていました。この研究によって、膵臓のがん細胞が転移能力を得るシステムの理解が進み、膵臓がんに対する新たな治療法の開発が期待されます。