免疫チェックポイント阻害剤の費用
免疫チェックポイント阻害剤の登場はがん患者さんにとって大きな希望となりましたが、その一方で高額な治療費用を心配する声があるもの事実です。ニボルマブは、承認当初の2014年の段階では悪性黒色腫という皮膚がんだけが対象でした。患者さんがそれほど多くはなかったので薬価は非常に高額に設定され、患者さんの体重によって投与量は変わりますが、平均体重の男性患者さんでは月額およそ300万円、年間では3,800万円にも上ると報告されています。その後ニボルマブが適応されるがんが増えたため、このままでは医療財政の破たんにつながると薬価が随時引き下げられ、現在(2020年1月)の費用は年間で1,090万円程度となっています。ただ日本には公的健康保険の高額療養費制度がありますので、収入や年齢にもよりますが多くの患者は年間50~100万円程度の負担に抑えることができると考えられます。
免疫チェックポイント阻害剤の治療費が高い理由は、ほかの新薬や治療技術などと同様に、研究開発に莫大な費用を要するからです。加えて発売当初のように、対象患者さんが少なければ単価が高くなります。ニボルマブは対象患者が多くなるにつれ、財政を圧迫するという理由で発売当初の約4分の1まで薬価が下げられましたが、今後も、免疫チェックポイント阻害剤は、開発費や需要の点から高額となってしまうケースが発生すると予想されます。