抗がん剤とがん免疫療法
抗がん剤ががん免疫を助ける場合もあることが、多くの研究で示されています。たしかに抗がん剤を長く使っていると、免疫の元になる白血球が少なくなることはあります。抗がん剤でまず減るのは白血球のうち、菌やウィルスを食べる好中球という白血球であって、抗がん剤を長く続けていても、リンパ球の数は、比較的保たれている場合が多いのです。抗がん剤が、がん免疫反応を助けるメカニズムは、以下の3つです。①ある種の抗がん剤を使い、がんの一部が死滅した場合、そのがん細胞破片を樹状細胞が貪食すると、がん細胞に反応できるTリンパ球を効率よく誘導できること。②抗がん剤治療によって、がん細胞の表面分子であるがん抗原やMHCが増え、その結果、Tリンパ球がよりがん細胞を見つけやすくなること。③抗がん剤でリンパ球のがんへの反応を低下させる制御性T細胞などが減り、CTL(細胞障害性T細胞)のがん細胞への攻撃が増すこと。
副作用が頻発しない用量で抗がん剤を使用し、抗がん剤ががん免疫療法に対してプラスになる点を最大限に利用すること、これを当院の多段階免疫調整によるがん治療では目指しています。