腸内細菌とがん免疫
腸内には1,000種類以上、計100兆個の細菌が生息し、人間と共生しています。最近、その腸内細菌は肥満、慢性炎症、自己免疫、がんなど多種の疾患と関連していることが解明されています。たとえば、大腸がんの患者で特異的に増えている腸内細菌や、潰瘍性大腸炎で増えている特定の腸内細菌などが報告され、がんや自己免疫との関連が明らかになりつつあります。最近、特に注目されているトピックとして、腸内細菌が、がん免疫に与える影響です。腸には腸粘膜、粘膜下組織、腸管膜リンパ節など、白血球が存在する場所が多くあります。その白血球の中心はリンパ球、マクロファージ、樹状細胞などです。腸には、体全体の半数の白血球が存在すると言われています。その働きは、食べ物に紛れて体に入ってくる有害微生物の侵入から体を守ることはもちろんですが、体内の免疫やがんにも影響を与えているようです。