膵臓がんの進行度による分類
がん治療においては進行度や患者さんの状態をもとに治療方法を検討します。進行度は症状や検査結果によって診断され、病期(ステージ)として分類されます。膵臓がんのステージには日本膵臓学会が定めたものと国際対がん連合が定めたものがあります。
・ステージ0期
がんが膵管の上皮内にとどまり、膵臓の内部に広がっていない状態です。非浸潤がんとも呼ばれます。
・ステージⅠ期
がんが膵臓のみに存在していて、リンパ節へ転移していない状態です。がんのサイズが2cm以下であればステージⅠA期、2cm以上であればステージⅠB期と診断されます。ステージI期では、がんの自覚症状がない場合がほとんどです。
・ステージⅡ期
ステージⅡ期はリンパ節への転移を基準に2ステージに分類されます。がんが膵臓を越えて増殖していても、近くの主要な血管やリンパ節への転移がない場合はステージⅡA期。がんが膵臓にとどまる、もしくは膵臓を越えたとしても主要な血管には転移していない場合で、リンパ節への転移がみられる場合はステージⅡB期とされます。
がんの状態にもよりますが、ステージⅡ期までなら外科手術で切除が可能とされています。背中などの痛みや黄疸といった自覚症状が現れはじめたら、がんはステージⅡ期以上に進行していると考えられます。
・ステージⅢ期
がんが膵臓付近の主要な血管まで及んでいる状態がステージⅢ期です。血管を通ってがんが転移することも少なくありません。ここまでがんが進行してしまうと、外科手術での切除は困難になってきます。
・ステージⅣ期
他の臓器への転移や膵臓から離れたリンパ節まで転移が見られる状態がステージⅣ期です。発見されるのが遅れがちな膵臓がんでは、ステージⅣ期になって初めて膵臓がんだと診断される方も多いのが現実です。さらにがんが進行して末期状態になると、体の痛みや黄疸などの自覚症状に加えて著しい体重低下などが起きる場合があります。これは、がんによって膵液の分泌が妨げられ栄養の吸収ができなくなる、がんが十二指腸などの消化管を圧迫するなどが原因として考えられます。