がんと免疫のお話し
Cancer and Immunity

非特異的免疫療法と特異的免疫療法

免疫療法には大きく分けて「非特異的免疫療法」と「特異的免疫療法」の2つがあります。
・ 「非特異的免疫療法」とは
 非特異的免疫療法は、免疫力全体の強化を目的とする治療法です。ピシバニールやレンチナンといった免疫賦活剤は古くから知られています。投与によって患者さんの免疫が活性され、がん細胞を叩く効果があるということで、免疫療法の第一世代として1970年代から実施されてきました。また、免疫細胞を活性化させるタンパク質を投与するサイトカイン療法や、BCGのような免疫賦活剤も非特異的免疫療法に含まれます。よく知られている丸山ワクチンも非特異的免疫療法のひとつです。
・ 「特異的免疫療法」とは
 免疫力全体を高めてがんと治療しようとする非特異的免疫療法と違い、特異的免疫療法はがん細胞だけ攻撃する免疫力を特異的に高めてがんを攻撃することを目的とした治療法です。代表的なものにがんワクチン療法があり、それには「樹状細胞療法」が含まれます。
 ― 樹状細胞療法とは
 自然免疫が獲得免疫に情報を伝達する時、重要な役割を担うのが樹状細胞と呼ばれる免疫細胞です。樹状細胞療法は、その樹状細胞を体外で培養し、敵の目印(がん抗原)を樹状細胞に覚えさせて、体内に戻すことで樹状細胞からリンパ球にがん抗原の情報を伝達させ、リンパ球にがん細胞だけを攻撃させるがん治療法です。樹状細胞は、いわばがんの攻撃部隊における「司令塔」の役割をします。当院で提供する樹状細胞局所療法は、この樹状細胞療法の一種です。

 特異的免疫療法はがん細胞だけに作用するので副作用が少ないとされ、治験が進んでいるものもあります。しかし、その一方で「効果は限定的である」という報告があるのも事実です。ただ、特異的免疫療法はがん患者さんの高いQOLの実現に貢献できる治療法であり、ほかの治療法との併用も含め様々な研究が進んでいます。

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